冷酷な彼は孤独な獣医
さっき、龍に抱き上げられた瞬間、

少しだけ幸せな気持ちになれた。


それなのに、今はどん底で……

こんな筈じゃなかったのに、

あんなに龍に会いたかったのに、

どうして……



「まったくお前は、泣いてばっかだなぁ!」


いつの間にか、涙が流れ出していた。


龍はあたしの涙を指でそっと拭く。


「龍が泣かせたんだよ!」


すると龍は少し笑う。


「ハハッ俺のせいか……」


その笑顔を見たら、安心して気持ちが落ち着いた。


「龍のバカ!あたし、凄く龍に……会いたかった」


あたしは、倒れる様に龍に抱きついた。




< 491 / 650 >

この作品をシェア

pagetop