冷酷な彼は孤独な獣医
あたしは包丁をまな板の上に置くと、

崩れる様にその場に座り込んだ。



「ハァ…ハァ…ハァ…」


まだ心臓はバクバクしていて、

息が苦しい。





「お前、こえー事するなっ」


気が付くと龍が目の前に居て、

呆然とした様子であたしを見ている。


「え゛っ?」


顔をしかめるあたしに、

龍は笑いながら話す。


「包丁持って「殺す」って……

アハハッなかなか見応えがあったぞ!

でも、あれはやり過ぎだろ」


龍はあたしの腕を掴むと、その場に立たせる。

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