冷酷な彼は孤独な獣医
あたしはなにも言えず、ただ呆然と龍の顔を見ていた。






凄く嬉しい筈なのに、もっとドキドキしてもいい筈なのに、


どうしてだろう………


力が抜けて……



「龍……」


「ん?」


あたしは龍の胸に、額を押し付けた。


「今、あたしの事好きって言ったよね?」


「言ったけど……」


「駄目だ……気絶しそう……」


あたしは龍の体から滑り落ちる様に、床に座り込んだ。


「大丈夫かお前?

なんか悪い事言ったなっ」



顔を上げると、龍が苦笑いをしている。


「えっ……?

えっ!!

そんな事ない!ない!ない!」

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