LOVE・ホテルに行こう。
看板の前に入り口はなかった。
矢印に従い歩くと看板とは違い申し訳無さそうにヒッソリとした入り口が見えた。


前から歩いて来る人が通り過ぎ、自分達の前に誰も居なくなり俯き、中に入って行く。


堂々と入れる場所じゃない。
オドオドしてる田村君を横で感じナゼかホッとしてる私。


私も同じだったから。


『誘った』割りにはラブホテルのシステムをあまり知らない。


って、言うか。


…初めて来た。28歳にして初めてラブホテルに。


今までの彼氏はみんな、一人暮らしだったからワザワザお金を出してまでラブホテルに行く事なんてなかったから。


テレビや映画から得た情報を思い出す。


こんな場所にはちょっと年配のおば様が小窓から顔を出して鍵を出すんだよね。


うん?…誰も居ない。
あれっ?前見た映画そんなんだったけど。
えっと、この先は…どうすれば…。


キョロキョロと周りを見渡す私。


迷わず、ズンと前に歩きパネルをタッチした田村君の行動は早かった。
素早く取った何かを見てエレベーターに乗り階を押した。


無言のままエレベーターを降りて部屋の鍵を開けた田村君。


…もしかして
こう言うの慣れてるのかな。


ナゼか少しだけショックだった。









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