LOVE・ホテルに行こう。
給湯室に戻ると男性の後ろ姿が見えた。


「田村君、置いといてって言ったのに」


湯飲みを洗ってる田村君がいた。


「さっき、手伝ってもらったんでお返し」


「あれくらいで。…ありがと」


隣に行き洗い終わった湯飲みをフキンで拭く。


「仕事、終わりそうですか?」


「後、30分くらいかな?」


「夕御飯食べ行きましょう。綾子が店に食べに来てって言ってたんで。明日休みだし、いいですよね?」


「いいけど、予約とかいいの?急に行って」


「そんな高級店じゃないんで。イタリアンって言ってもちょっとシャレタ居酒屋みたいな所なんで大丈夫です」


1階で待ち合わせの約束をして別れた。


きっちりと30分で仕事を終らせ田村君を待っていた。


エレベーターから出てくる社員の中に田村君の姿を見つける。


その隣には奈美ちゃんの姿。


まぁ~ね。
同じ課だから一緒にエレベーター乗るって事は出来るしね。奈美ちゃんの積極性には感心する。


私を見つけた田村君が私の方に近づく。


可愛い笑顔してた奈美ちゃんの顔が私を見た途端に怪訝な顔になった。


「吉川さん、お疲れ様でした」


「お疲れ様でした」


田村君の挨拶に奈美ちゃんが応える。
チラッと私を見て


「お疲れ様でした」


さっきより低めの声で挨拶して通り過ぎて行った。


田村君と付き合ってるってみんなに知られちゃた時からたまにこんな感じになることはあった。


女性社員からの冷たい目。
職場に敵作っちゃったかな~。
うーーーん。
働きづらいったらありゃしないっ。


能天気な笑顔で私を見る田村君に拍子抜けしてしまう。


お腹空いた~。
嫌な事は頭の隅に投げて取り敢えず美味しいの食べよっ。












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