LOVE・ホテルに行こう。
綾子さんのお店を出てバスが来るのを待っていた。


「俺の部屋来る?」


「う~ん。どうしようかな?」


「イヤ?」


いつもこの調子にやられちゃうんだよね。
子犬?子猫?
ねだるように言われると断れない。


「わかった。行くよ」


そしてニコッと笑う田村君。
いつものパターン。


田村君のマンションに着いたのは10時過ぎだった。


「美久、お風呂先いいよ」


泊まる事に抵抗が無くなり気付けば私の服も増えている。


これでいいのかな。
たまに、ふと思う2人の関係性。


後、1ヶ月の恋人。
後腐れなく別れる恋人。


別れたら私達の関係性って何だろう。
会社の先輩と後輩。
付き合ってたから元カレ、元カノ。


友達でもないし…。


2人して綾子さんのお店に行く事もなくなるのかな。
ましてや、田村君のマンションに来る事もないんだよね。


何だろう。
寂しいなって思うこの気持ち。


1ヶ月後には何にも無くなって
私の隣には田村君は居なくって


…独りぼっち。


ずっとこうしてたいなって思うけど
やっぱりいけないなって思う気持ち。


だって…田村君には好きな人がいるから。
心が違う誰かを求めてるのに私が居るのは良くない事だと思う。


田村君には幸せになって欲しいなって思う自分と近くに居すぎたのかな、田村君が違う誰かと居ることが寂しいなって思う自分もいる。


人の心は複雑だ。
時が経てば心も変化する。
私の心は何を求めてるんだろう。
考えても答えは出てこない。


ひとまず、お風呂、入ろうっ。


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