LOVE・ホテルに行こう。
奈美ちゃんのアピールに反応してだったのか。
私が言った事を考えての事だったのかは解らないが二度も断りの言葉を言った田村君。


振られた奈美ちゃんも辛かっただろうけど同じくらい辛かったんじゃないのかな。


奈美ちゃんの気持ちがわかるって言ってたから。


恋って罪だ。


誰も傷付けない恋なんてこの世には存在しないのかもしれないな。


えっとっと。
あれ?


私、何をしようとして席たったんだっけ?
あれ?思い出せない。


突然の奈美ちゃんの告白に動揺して色々と考えていたら自分の行動を忘れてしまった。


廊下で考え込んでしまってた。
ちょっとした老いの訪れか?
イヤイヤ、それはない。


「お疲れ様です。どうかしましたか?」


後ろから声がして振り向くと田村君がいた。


「ちょっとね。…あー、ファイル」


備品庫に新しいファイルを取りに行くんだった。良かった、思いだして。


「木崎さん、ちょっとっ」


肩を押され近くの会議室に連れ込まれてしまった。


「えっ?どうしたの?」


「ちょっと、すみません」


伸びてくる田村君の指が私の口の下に触れてた。


えっ?
何?
えっ?


「ちょっ、何?」


訳が解らず田村君を突き飛ばしてしまった。


「ひっどいなー。これ?」


そう言って自分の指を私の目の前に立てた。
黒く汚れが付いてる指。


「ここに黒いの付いてたんで」


「へっ?」


口の下に指を付けて擦る。
って、よく見たら人指し指に黒のインクが付いてた。さっきのコピー機のだ。


「あー、また付いちゃってますよ」


伸びてくる田村君の指に反応して後ずさる。


「いいっ、自分で拭くから。トイレ行ってくる」


そそくさとその場を後にした。


はぁーっ。ビックリした。
急にあんな事するんだもん。


奈美ちゃんといい田村君といい動揺させないでよね。ドキドキしながらトイレに急いだ。





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