LOVE・ホテルに行こう。
春人は優しかった。
いつも私の話しを聞いてくれて私の意見をいつも尊重してくれてた。


ケンカもあんまりした覚えがない。
大恋愛って訳じゃないけど穏やかな恋愛だった。


このまま付き合ってたらいつかは春人と結婚するんだろうなって思ってた。


いつからだろう。なんとなく春人の態度が変わっていった。私を避ける感じ。


どうして?
考えても解らなかった。春人にも聞けなかった。


春人の態度に比例して私の態度も変わっていった。私を見てない事が解ったから私から春人に近付けない。約束も何かにつけて断る事があった。会う度、春人の態度に切なくなってたから。


そんな時に言われた別れの言葉。
『好きな人出来た』


やっぱりかって。
春人の態度が変わっていった理由が解った。
好きな人がいるのにスガル事なんて出来るわけない。すんなりと別れ話を受け入れた。






「俺さ、…美久に嘘ついた」


春人が口を開いた。
春人の横顔を見る。前を向いたままの春人が続けて話す。


「別れる時に好きな人が出来たって言った事は嘘なんだ。…信じないかもしれないけど本当だから。…俺はずっと美久が好きだった。別れた時も」


「…だったら…なんで別れようって…」


春人の思いがけない告白に言葉がつまってしまった。


「…俺、自信がなかったのかな。
今更かもしれないけど自分自身、無理してるなって感じてた。美久に気に入られるように格好つけて。美久が悪い訳じゃなくて、俺が言いたい事も我慢してた。好きだけど好きだから…疲れたのかな、無理してる自分でいることに」


コーヒーを飲んで一呼吸置いた春人に


「…ごめんね。…私が無理させてたんだね。
春人、優しいから。…ごめん」


春人の切ない思いに心がキュッと締め付けられる。















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