LOVE・ホテルに行こう。
「だからそれは違うんだって。美久は何も悪くない。俺がもっと自身持ってれば良かっただけ。喧嘩したら美久が離れていくんじゃないかとか不安だった。そう思ってた俺が間違いだった。喧嘩しても仲直りして、またしても仲直りしてそんな関係を作れば良かったんだって後悔した。…俺が美久から逃げたのに美久の態度が変わってくのが辛かった。…だから嘘ついた。もし、美久が別れたくないって言ったら俺達やり直せるって、勝手に思い込んで。…ホント、俺って馬鹿。自己中で美久、傷付けて」


うなだれた春人が頭をあげて


「美久、ごめんな。…嘘ついて。
俺の言い訳っていうか弁解っていうか、
…美久に謝りたかった、ずっと」


「…春人。……もういいよ。わかったから。
私達、もっと喧嘩すれば良かったね。そしたらお互いの事もっとわかり合えたのに。…私も春人に聞けば良かった、どうしてって?春人は答えてくれたのに私も強がってたのかもしれない。だから…お互いお馬鹿さん?だったのよ」


ふぅ~。
軽く深呼吸して


「だから春人の嘘を許す」


隣の春人の顔を見ながら言った。


心の重荷が無くなったみたいに軽くなる。
心の奥に隠していた悲しい記憶も消えていく。


「そうかもな。喧嘩すれば良かった。
…でも美久が勝ってただろうな、いつも。
口では負けそうだから、俺」


「何よそれ?」


笑いながら軽く春人を睨む。
春人は懐かしい笑顔を私に見せた。


「春人、結婚式はしたの?」


左手の薬指にしてある指輪。


「式はまだ。籍は入れたんだ。転勤決まって結婚決めたから式までは出来なくて。向こうで家族だけでしようかって話してはいるんだけど」


「そっか。…お相手はどんな人?」


今なら素直に聞ける。
春人が選んだ人はどんな人なんだろう。


「同じ会社の人。同期。
…美久に言うのもなんだけど美久が俺達のキューピッドってやつ?」





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