LOVE・ホテルに行こう。
「明日、朝御飯作る元気ないからコンビニでパン買っていこうか?」


「俺が作るよ。美久は寝てていいから。卵あったし適当に作るから」


そう言う所は可愛いげあっていいけどね。


さりげなく強引で頑固。
いつも田村君のペースに巻き込まれて私の意見なんて聞きもしない、今日みたいに。
もう、慣れっこだからいいけど。


「美久、先に風呂入りなよ」


疲れた体を熱いお湯で癒す。
うわ~。
極楽、極楽って言っちゃいそうな私。
まだそんな歳じゃないと口にはしなかった。


ベッドで横になりいつの間にか眠りに落ちていた。隣に居ない田村君。
起き上がりリビングに行った。


「何時?圭吾、寝ないの?」


電気の灯りが眩しくて目を細めて時計を見た。12時過ぎ。


「うん、もう寝る」


「ビール、飲んでたの?」


テーブルの上にビールがのってた。
近くに来た私の腕を引っ張りソファーに座らせた。


「…美久」


顔が近付いて唇が触れる。
一度離れて私を見つめる。


「酔ってるの?」


黙って私を見つめ再び唇が触れる。


倒された体は身動きが取れない。
私の素肌を探すように田村君の手が動く。


「圭吾っ。ちょっとやめて。…やめてっ」


私の大きな声にハッとしたように動きを止めた。


「…ごめん。…美久、ごめん」


切ない目で私を見る田村君は…ずるいね。


いつの間にか心に入って来てた。


あの時。
春人との別れ際。


私、気付いたんだ。
私が求めてるのは圭吾だって。


触れて欲しいのは圭吾だって。


だからいいよ。
圭吾が違う誰かを私に重ねても。


切ない恋心。
私も解るから。


「圭吾…いいよ。…ベッドに行こう」


私から圭吾を誘う。
キスをして圭吾に近付く。
















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