LOVE・ホテルに行こう。
「圭吾、照れてるの?顔が赤くない?」


綾子さんが圭吾を指差して笑った。


「ちょっと、飲みすぎただけ。トイレ借りる」


「美久さんが全部?って可愛いこと言うから照れちゃって。フフフっ。
信平、お摘まみだけじゃ足りないね。
美久さん、私のパスタ食べない?」


「食べたいです。作ってくれるんですか?」


「代金は取らないから安心して」


冗談を言いながら立ち上がりキッチンに行った。


「信平さん、幸せですね。いつも綾子さんの料理が食べられて」


ビールを飲んでた信平さんが手を顔の前で振った。


「やっぱりそう思うよね?ここだけの話し家では俺が食事担当なんだ。たまに作ってくれるけどほとんど俺の担当。和食は俺の方が綾子より美味しいかも。綾子には内緒だけど」


いたずらっ子みたいに笑い私に話した。


「圭吾も料理するの好きだよ。大学の時、定食屋でバイトしてたから。俺も同じ所でバイトしてた。その時からの付き合いなんだ」


「だから料理出来るんだ。作ってくれる料理、私が作るより美味しいですもん」


圭吾の過去ってあまり聞いた事がなかった。
好きって感情は過去までも知りたくなる。
圭吾の事もっと知りたいけど知りすぎると忘れられなくなる。


戻って来た圭吾が信平さんと話していた。
ふと、独りぼっちの寂しさがわき上がる。
綾子さんと信平さんと圭吾。
私はもうこの中には居られないんだなと思う寂しくて虚しい気持ち。


「美久さん、お待たせ~。信平、テーブルの上片して」


空のビール缶を片してスペースを作る。
大皿を2枚、テーブルに置いた。
カルボナーラ。
それとアスパラとシメジの入ったタラコスパ。
美味しそっ。御馳走を前にすると元気がでる。


「信平、取り皿持ってきて」


「私、手伝います」


立ち上がりキッチンに取りに行く。


「綺麗ですね、キッチン」


圭吾のキッチンも綺麗だがそれ以上に片付いてる。スパイスのビンや調味料などが無駄なく並べられていた。道具が赤色で統一されていてオシャレって言葉が合う。


「ここ、俺の城だから」


ニッと笑う信平さんを見てさっきの会話を思い出した。



< 70 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop