LOVE・ホテルに行こう。
駅に圭吾が迎えに来てくれていた。


「車で来てる。ここから車で10分くらい」


お父さんに借りてきた車に乗り込み圭吾の実家まで行く。


「圭吾、免許持ってたんだ。車、運転してるの新鮮だね」


「もしかして格好いいとか思っちゃったりしちゃった?」


「思った。思った。ほら、よそ見しないの」


緑が多い静かな街。
トンネルを通ると海が見えてきた。


「海だ。圭吾が言ってた泳いでたって海ってここ?」


「そう。何にもない街だけど夏だけは海水浴で人が増える」


「へぇー。夏になったら遊びに来たいな。
泳がないけど足付けるくらいなら楽しそう。夏になったら来ようね」


「夕陽も綺麗なんだ。俺の青春?ってな感じ」


「ああー、可愛い子、ナンパして楽しんでたってわけだ。夕陽、背にして、お姉さん俺といい事にして遊ぼうっとか言って」


アハハと笑い出した圭吾。


「美久の妄想凄いね、笑える。純情な俺がナンパなんか出来るわけ無いじゃん。いっつも男ばっかで遊んで田舎丸出しの俺達なんか、相手にされるわけないし。でもそれが楽しかった。
男ばっかで馬鹿してさ、今でも思い出す。あの頃が俺の青春だったな~って」


海を見る。
冬だから寂しく感じるけどキラキラと輝く海は果てしなく広がってた。


私の実家と同様にご馳走して待っててくれてた。


「寒かったでしょう?ストーブの前に座って、美久さん」


圭吾のお姉さん家族やお父さんの弟さんの洋治叔父さんと奥さんが集まっていた。
緊張したけど楽しかった。
陽気な洋治叔父さんにいじられてた圭吾が可笑しくて笑いっぱなしだった。


駅まで送ってくれたお母さんと別れて圭吾と電車に乗り込む。


「美久、ありがとう」


「うん?何が」


「なんとなく。美久が実家来てくれて家族と笑ってて凄く嬉しかった」


圭吾の言いたい事は解った。
私も同じだったから。
私の家族に圭吾が会ってくれて
2人の絆がより強くなった感じがしてた。


それが嬉しかったから。


「私も同じだよ。圭吾、ありがとう」


圭吾にお礼を言った。


人との繋がりは無限で
少しずつ私の繋がりも増えていく。







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