LOVE・ホテルに行こう。
「えっと、俺達、結婚しますっ」


「えっ、嘘っ」
「おめでとうー」
「まじかよっ」


カラオケルームに皆の声が響いた。


恒例のお盆休み前のお疲れ会。
カラオケルームで盛り上がっていた。


「三次会は浜屋になりますのでー」


幹事の水沢君が隣の奈美ちゃんと笑い合いマイクで叫んでた。
付き合ってるのは皆知っていた。
水沢君が猛アプローチを掛けたと噂はあっという間に広がっていた。


ぞろぞろとカラオケルームを後にして皆が出ていく。


私も出て行こうとドアに向かう。
カラオケ店の前で圭吾が待っていた。


「行こうか?」


圭吾と二次会まで出席しようと決めていた。


「俺、飲みすぎた。ちょっと、休んでいい?」


「もう、程ほどにしてよね。水、いる?」


「ごめん」


近くの自販機に行き圭吾にミネラルウォーターを渡した。


受け取った圭吾がゴクゴクと一気に半分くらい飲む。圭吾の隣に座り背中をさすった。


「大丈夫?」


「…大丈夫‥じゃない。横になりたい」


「横になりたいって。こんなとこで言われても…」


見えるホテルの看板。
うーん。
どうしたものか。


「…ホテル、行く?…近くのホテル。横になれるし」


「…うん」


なんとか歩けそうな圭吾に寄り添いホテルの入り口まで来た。
人の気配がないか見渡し入り口に入る。


この次は…。


と、考えていると隣の圭吾が素早く歩きタッチパネルを押した。


振り向いてニッと笑う圭吾。


「美久、行こうか?」


私の肩に腕をまわしてエレベーターに乗り込む。


「ちょっ、何、急に元気になってんのよ。もしかして、騙したの?」


「美久とオアイコ。ハアー、ドキドキした」


「帰るっ」


「ちょっ、美久っ」


エレベーターから降りた私の腕を掴んだ。


「ごめん、嘘付いて。でも、これには理由があるんだ」


「何よ、理由って」


その時、ウィーンと自動ドアが開きカップルが入って来た。
お互い、ギョッとして顔を伏せる。
ここがどこか改めて自覚する。


「美久、部屋いこっ」


圭吾がすかさず耳打ちしうつ向きエレベーターに乗り込んだ。


あー、もう恥ずかしいっ。


「馬鹿っ、圭吾の大馬鹿っ」




















< 86 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop