君が好き



桜とはそのあと少し話してからばいばいした。
お互い方面が違うから使う電車も違うのだ。





ひとりになったときに急激に襲ってくる孤独感と言いようのない悲しみには1年たった今でも慣れることはない。

(淋しいね。)


この感情から来るのだろうか。
美智香が遊びをやめられない理由は。
寂しさを誰かで埋めようとしているのか。


「...そんなことしても、埋まらないし余計虚しさがついてくるだけなのにね。」



頭ではわかりきっていることすらも、
心は追いつくことがなく、打ちひしがれるだけ。


綺麗事を並べても仕方が無い。
何も、変わることはないのだから。
そう、何も変わらない。



あの日からずっと、



止まった時間は動くことがなかった。

壊れた時計のように。
空間に1人だけ置いてかれたのだ。



美智香ひとりだけを、おいて...。





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