once again
「じゃー、俺文字書くから、石原イラスト担当な」
「ええ!あたし、絵上手くないし…」
「何言ってんだよ。教科書貸してくれたときの落書き、超うまかったじゃん」
見られてたんだ…
少し恥ずかしくなったあたしは、うつむいた。顔赤くなってんのバレてないかな。
「ね、石原」
「ん…?」
「この前さ、直汰って一瞬呼んだよね」
「えっ」
「なんで?」
顔を上げると直汰との顔の距離は
10センチもないくらい近かった。
「……ッ」
慌てて顔をそむけると、直汰も同じことをした。
「…俺さ、なんか嬉しかったんだよね」
そう言いながら直汰の顔も真っ赤だった。
「うん…」
「石原のことさ…笑佳って呼んで、いい?」
「うん…」
覚えてる。
2人で名前で呼び合う約束した、この時。
「直汰…」
「うん」
そう言って恥ずかしそうに笑う顔も
今でも覚えてる。