once again



河川敷の芝生にごろっと寝転がってみる。

3月初めの冷たい風が涙に濡れた頬をかすめていった。

「ううっ、寒っ…」

あの頃はよく来たなあ…。




直汰と付き合い始めたのは中1の夏。

サッカー少年の直汰は、いつもクラスの中心にいて、誰にでも優しくて、すぐに好きになった。


それに比べてあたしは人見知りが激しくて、思ったことを素直に言えない、すごい地味な子だった。


だから、あたしは、直汰に告白された時すごいびっくりしたし、それと同時に「変わろう」と決めた。



そして、あたしは変わった。



肩までしかなかった髪を伸ばし、
黒髪を茶髪に染め、
慣れないメイクもたくさん雑誌を読んで

あたしは可愛くなった。

直汰に釣り合うように。



…そしていつの間にか
大事な物も無くしていたんだ。

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