芸能人と恋に落ちました。

折りたたみ傘は常に常備しているため濡れなくて済んだけど…

鍵が見つからないと家に入ることもできないしお母さん達に帰ってきてもらうって言ってもそれは難しい話

それに後でこっ酷く叱られるのは間違いない

期待を込めてまた鍵を探す

辺りなんて気にせずカバンのものをひとつずつ出す

けど鍵なんてない

そもそも鍵をいれた覚えなんてない

朝お母さんが言いたかったのは多分このこと

親戚の家に行くからしっかり鍵を持っていけ。と

聖奈に連絡して止めてもらおうかな

それとも最悪このまま野宿?


「…い」



野宿するしか方法ないよね?

出来るかな? いや出来るかなじゃなくてやるしかない


「おい、お前こんなとこで何やってんの?」


誰かが私に話しかけてる?

顔をあげるとそこには蒼樹くんがいた

蒼樹くんみたいな芸能人でもコンビニ来るんだ…

そりゃそっか

コンビニ程便利なところはあまりない


「何やってんのって聞いてんだけど」

「えっとですね…家族が親戚のところに行くっていうの忘れててですね。
鍵を持ってなくて家に入れないんです」


こんなこと蒼樹くんに言ってもどうしようもないんだけどね


「俺ん家来るか?」


…は?

「いやいや! さすがにそれはっ‼︎ 」

「なんで?」


なんでって…


「だって蒼樹くんと蒼樹くんの家族に迷惑かけちゃいます」


絶対行けないよ

それに蒼樹くんは俳優なんだもん


「俺1人暮らしだから」


そういう問題じゃないんですけど…


「蒼樹くんのことを考えたら行けません! 」


「あーもうつべこべ言わずに来いよ。せっかく言ってやってんだから」


正直揺れてる自分がいる

あんなに憧れていた蒼樹くんとずっと一緒にいれるっていう魅力的な条件なんだもん


「それでいいよな?」

「…お願います」


折れちゃった…

イケメンに俺ん家来る? なんて言われたら断れないでしょ‼︎


「行くぞ」

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