短編集‥*.°
私は、自分では真面目なんて、思っていなかった。学校に、ケイタイを持っていったこともある。お菓子だって。
自分じゃ、真面目なんてツユほども思っていなかった。…だけど。
私の、自己分析の結果と、周りの評価が違ったんだ。自分のことは自分が一番良くわかっている。
でも、こんなにもイメージが違うなんて、考えてもみなかった。
…本当の自分を見られてないみたいで、
さみしかった。
「…」
ガチャリ、と手に伝わるドアノブの重みを感じながら、屋上への扉を開けた。
──扉の奥には、
真っ青な空が、広がっていた。
青く深く。原色をそのまま塗りたくった、みたいな。所々には雲が浮かぶ。まるで、綿を千切って、風に流しているように。
ポスターカラーの青と白は、広い空で混ざり合って溶けていた。
…キーンコーンカーンコーン、と。チャイムの音色が耳に届いた。
これで私は、無断欠席決定だ。
ほらね、私、真面目なんかじゃない。
校庭に向かって叫びたくなる衝動を堪え、ふぅ、と一つ息をつく。空を、仰ぐ。
空色が、身体の中に流れ込んでくるようだった。
──制服のまま、地面に寝転んだ。