短編集‥*.°
学校の中庭に咲いてる、
淡い桃色のマーガレットを摘んで、
一枚、二枚ってちぎってく。
その花びらの一枚一枚に、
意味を込めて。
好き、嫌い、好き、嫌い、好き…。
花びらを千切りながら、願いごと。
___好きが出てほしい。
私が好きなのは、上杉って奴。
頭が良くて、優しくて、
なにより、一緒に居て楽しいんだ。
顔は…イケメンじゃないけど、
不細工でもない。
普通の人。
そんな上杉を、私は好きになった。
今日も、手作りの弁当を急いで食べて、
昼休みになる前に、花弁占い。
好き、嫌い、好き、嫌い、好き…。
残った花びらはあと二枚。
嫌い___好き。
今日も好きが出た。
嬉しくない訳はない___けれど、
私はマーガレットの事を知っていた。
マーガレットの花びらは…奇数が殆ど。
だから、ほぼ必然的に答えは〝好き〟。
これは、
自分を励ますための…おまじない。
だから、毎日毎日〝好き〟なんだ。
私が〝好き〟の残ったマーガレットを
持って、立ち上がろうとすると、
不意に名前を呼ばれた。
…私の好きな、優しい声で。