短編集‥*.°
…つまんない…。
窓際、一番後ろの席で、
数学の授業を聞き流しながら…
大空を見上げた。
雲に染まった、灰色。
…なんの感情もないかのように、
青空とは違って。
「はぁ…」
無意識にため息が出た。
このところ、
毎日になんの変わりもなく、
中学生活の醍醐味と言われる恋、
なんてモノも、私には無い。
あるとすれば友情。
でも、私には、親友こそいても、
好きな人なんていなかった。
親友とじゃれあって、
その日は終わり。
なんにも無い…
とにかく、つまらなかった。
「はぁ…」
何度もため息をついていると、
隣の席の三吉に
「なににため息ついてんだよ、荻村。
なんかイラつく」
って…怪訝な顔で言われた。
「知らないし」
はあっとワザとらしく
もう一度 息を吐きながら言うと、
三吉は眉をひそめて、前を向いた。
ほっといてよ、そのくらい…。
平凡な毎日に
飽き飽きしてるだけなんだからさ…。
好きな人もいないし、
かといって意味もなくやさぐれるような
勇気もなし。
ほんっと、面白くないなぁ…。
私の心の中は、
今日の空みたいに灰色だった——。