短編集‥*.°
「そんでねえ〜、
河端先輩がアタシに
笑いかけてくれてね〜!…ちょっと!
ルミ、聞いてる?」
「…あ、聞いてる、聞いてる」
「…聞いてなかったでしょ」
目の前で〝憧れの河端先輩〟を
熱く語るのは、親友のマリネ。
今は、昼休み…教室は
いつも騒がしくて頭が痛くなるから。
マリネと、
屋上に来ていた。
相変わらず、
雲に覆われた空が良く見える…。
空から目を離し、
卵焼きをかじりながら
マリネに顔を向ける。
マリネは、
少しフランス人の血が混じっていて、
色素の薄い髪と、ほんのり青の瞳。
私とは違って、
典型的な美少女。
そんなマリネが好きなのは、
バスケ部エースの河端先輩、
って人らしく。
河端先輩を、
マリネは一方的に溺愛中だ。
まあ、ヤンデレとまでは
いかないけど。
「こっからが大事なんだって!」
突然、テンションを上げて、マリネは
お弁当を持ったまま、
手を上に上げた。
…なにが大事なんだろう?
…ちょっぴり気になる。
「あのね、河端先輩が
笑いかけてくれた後でね…
告白されてねえ」
…えっ?
「…はっ?」
…開いた口が、
塞がらないってのは、こういうこと。
え、どういう意味?