短編集‥*.°
「村松〜!
なにしてんの〜?」
見れば、
上杉が手を振りながら近づいてくる。
熱くなる顔が恥ずかしくて、
私はそっぽを向いた。
「なぁ、村松!
なにしてんのってば」
上杉が、私の背後に立つ。
私は思わず、言ってしまってた。
「えと…花弁占い」
ああっ!
私、なんて馬鹿なんだろ?
この年頃の男子は
恋愛系の噂が好きだって
聞いたことがあった。
『好きな奴だれ?』って言われそう!
ヤダ!
…でも、想像に反して、
上杉はふーんって言っただけ。
…私の事、
なんとも思ってないのかな…。
「村松は何か出た?」
「えっ?す、好きって…。
あ、でも、
マーガレットの花びらは…」
また言ってしまった。
気づいて、慌てて言い訳したけど、
上杉はソレを遮った。
上杉といる所為で、胸が痛い。
…ドキドキする。
「俺もやってみる〜」
…え?
好きな人…居る…の?
…喉まで出かかった声を、
必死に呑み込んだ。
きっと、言われて嬉しい訳がないし、
それに…。
…聞きたくないから。
上杉はマーガレットを摘むと、
数えながら千切り始めた。