短編集‥*.°
「んじゃな〜」
「さようなら」
…さっきの先輩と別れ、
梯子からおりて屋上の扉を開く。
目の前に続く階段を見下ろす。
そして、歩き出した。
何かが変わった——のだろうか。
今日は部活がなくて良かった。
ぼんやりと空を眺めながら、
帰り道を急いだ。
その夜、私はベッドの上で
某トークアプリを通してマリネと
やり取りしながら、
夕方の事を思い出した。
[マリネ:でもさ、
ルミがサボるとは思ってなかった〜。
中村が、テスト二週間前なのに、
なにやってんだって、怒ってたよ]
[国語は自信あるから大丈夫。
ちょっと色々、事情があって]
[マリネ:…ま、そうだろうね。
ルミ、小テストいつも百点だもんね]
あの人の名前…聞いてない。
なんて言うんだろう?
また、あそこに行けば、
会えるのだろうか…。
ピロンと携帯が鳴り、
私は画面に目を向けた。