短編集‥*.°
ザー…と降り注ぐ雨に起こされた私は…ゆっくりと目を開けた。
「…え?」
カシャン、と音がなった…手首の冷たい感触に身をよじる。
…暗い部屋、上の方に明かりが見えるのは窓があるからか。
…ここ、どこ?
…私…。
――監禁、されてるの?
――…記憶が、静かに、なだらかに…蘇ってくる。
確か私は…仕事から帰って、アパートの部屋に入って…そして…。
…なにかの薬を、嗅がされて。
…フッと意識が消えて…さっき…目が、覚めた…。
理解した瞬間、身体がガクガクと大きく震え出した。
…私…監禁されてる…の…?
…いったい、どこに…?
頭に浮かぶのは、いつも優しい私の恋人と…両親…。
…怖い、よ…誰か…!
手錠が鳴る、私の身体の震えに合わせて…怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。
なんで…なんで手錠なんかはめてるの?
なんで私…誘拐されたの?
監禁?
どうして?
誰に!?
…突然 太ももの裏が冷えて、半狂乱になりかかった私は、正気を取り戻した。
…あれ、でも私…仕事には、スキニーパンツをはいていってるから…。
…なんで太ももの裏が冷たい?
自分の着てる服を見る…かなり開放感のある服で…。
…真っ白なワンピース。
真っ黒な空間に、嫌にワンピースは際立った。