短編集‥*.°
…眠れない。
夕方に眠りすぎたようで、
目はパッチリと覚めていた。
ベッドから起き上がり、
すぐそばにある窓に手をかける。
真っ暗な夜、少し錆びついた窓を、
ガタガタと音を立てて開いた。
アタシが見上げたのは、夜空。
――光の煌めく、星空。
「ねぇ、カナ…。私の悪口 言ってるって
言われたんだけど、本当?」
突然サエカに言われて、
アタシは「は?」と返した。
そんな覚えない、
その逆ならあり得るだろうけど。
サエカは “ 自称 ” 私の親友。
長くて黒い髪は綺麗で、
顔もまぁ整ってる方っぽい。
性格も髪の色も長さも全部が正反対の、
いつの間にか親友。
馬が合わない事が多々あるのに、
ベタベタと絡んでくるのはサエカの方。
そして、色々と
面倒臭い事を言ってくるのも。
教室にあるアタシの机に顎を乗せて、
目を見てくるサエカに返事をする。
「なにそれ。覚え、ないけど」
サエカはちょっと顔を歪めて、
「ミクに言われたの。
カナと…ルリさんが裏で私の悪口を
言ってるって」
そりゃ、悪口は裏で言うものだよ。
表で言ってたら悪口って言わないような
気がする。