短編集‥*.°
二年の時から好きだった。
中学一年生の、
今日、この日まで。
好きだった。
でも、諦めた。
どこが好きかも解らなかったし、
会うたびにドキドキはするものの…
なんだか、冷めていた。
それに。
…五年間も続いたこの恋に、
そろそろ区切りをつけたいと、思った。
告白なんて無理。
そんな勇気、私にはなかった。
君も結構…ヘタレ。
小学二年生のバレンタインデーから、
小学六年生のバレンタインデーまで、
チョコレートを渡した君を。
…諦めた。
諦めたという言葉で済ますのは、
酷いかもしれない。
毎年、ホワイトデーに
お返しをくれた君に。
…解って下さい。
この恋を
終わらせたかったんです。
私に縛られないで、
君も、新しい恋を見つけて。
…私はしばらく、
恋をしない事にします──…。
二年生の時に知ったおまじない。
頭を洗う時、
好きな人の名前の数だけ、
ノズルを押せば両思いになると聞いて。
元々、二回ほどだったのを、変えた。
最初は慣れなくて。
何度も間違えたけど…。
いつの間にか、
その数を押すのが、癖になっていた。