短編集‥*.°
…えっ。
…えええっ、が、ガーベラ!?
「ガーベラって…今、ガーベラが
喋ったの!?この花が!?うそ!」
「うそって…酷いな。僕が喋ったけど、
なにかおかしいのか?」
また声、今度はハッキリと解った…
ガーベラが話したって事。
「やだ、うそ!なんでなんで!?」
ガーベラの花びらが、
ほんの少し怒ったように浮く。
「うそでもなんでもないし、
質問に答えてくれないかな?
なんでそんな事をした?」
「え、て…ていうか」
ガーベラに指を差す。
花が喋ったなんて、
信じられる訳がない!
「なんで、ガーベラが…」
「質問返しってやめてくれないかな?
先に答えてよ、
なんでそんな事した?」
…解った、これはきっと夢。
夢なんだ。
夢の中なら、花とだって
話す事ができるのかもしれない。
そう無理に頭を納得させた。
そう、これは夢。
なら、話したって大丈夫なはずで。
「…」
「ほら、早く」
ガーベラの葉が、
先を促すように上下に震える。
「…イジメから、逃げたくて」
気づけば返事をしていた…
周りから見れば完璧なる変質者。
「…ふーん?」
ガーベラに表情はないけれど、
馬鹿にされたように思う。