短編集‥*.°


「なんで自分を傷つけたら、
 逃げられる?」


…えっ、そんな深い所まで聞くの?


この花…ガーベラは。


見下ろすのがしんどくなってきて、
花壇の高さに合わせてしゃがみ込んだ。


ガーベラと目線が合う。


まあ、目はないけれど。


「…解らない、けど」


「じゃあ、質問を変えるよ。
 …どうして、逃げたい?」


…始めて聞かれた、そんな事…
まあ、当たり前だろうけど。


この言葉の意味は、
どう受け止めるべきなのかな?


なんで逃げたくなったのか…
それを聞いているのか。


「…長くなるけど、良い?」


「僕は別に良い」


不思議な事に、チャイムは鳴らない…
なんでだろう?


まあ、いっか。


ガーベラ相手に、話し始める…
なんで私がイジメられ始めたのか。


「あのね…私の教室さ、一年二組で…。
 二組にね、ちょっと気弱そうな
 女の子が居るの…。

 でね、その子、イジメられてて。

 私さ、正義感が強いのか
 解らないけど…見てるだけで
 イライラして。

 イジメはやめろって言っちゃったの。
 それからは、私が目をつけられて…」


チラリと、赤く染まった包帯を見て、
苦笑する。


ああ、私って、弱いなって。


< 79 / 139 >

この作品をシェア

pagetop