短編集‥*.°
「なんで自分を傷つけたら、
逃げられる?」
…えっ、そんな深い所まで聞くの?
この花…ガーベラは。
見下ろすのがしんどくなってきて、
花壇の高さに合わせてしゃがみ込んだ。
ガーベラと目線が合う。
まあ、目はないけれど。
「…解らない、けど」
「じゃあ、質問を変えるよ。
…どうして、逃げたい?」
…始めて聞かれた、そんな事…
まあ、当たり前だろうけど。
この言葉の意味は、
どう受け止めるべきなのかな?
なんで逃げたくなったのか…
それを聞いているのか。
「…長くなるけど、良い?」
「僕は別に良い」
不思議な事に、チャイムは鳴らない…
なんでだろう?
まあ、いっか。
ガーベラ相手に、話し始める…
なんで私がイジメられ始めたのか。
「あのね…私の教室さ、一年二組で…。
二組にね、ちょっと気弱そうな
女の子が居るの…。
でね、その子、イジメられてて。
私さ、正義感が強いのか
解らないけど…見てるだけで
イライラして。
イジメはやめろって言っちゃったの。
それからは、私が目をつけられて…」
チラリと、赤く染まった包帯を見て、
苦笑する。
ああ、私って、弱いなって。