【短編】約束
5年前――…


この場所で、私は確かに彼と一緒にいた。 



素肌に突き刺さる芝の感触を確かめながら、緑の絨毯の上を二人で寝転んだ。



チクチクとした芝の痛みよりも、胸のドキドキの方が勝っていた、あの日――。




待ち合わせ場所も、廻ったルートも、彼に掛けられた言葉も、全て覚えている。 


もちろん、彼の表情も。



『日本を飛び立つ前にどうしても会いたい』と言われ、二人で訪れたこの庭園。 


期待をしないように…… 
それでも、二人きりのデートを楽しみにしていた私。 


あなたはどんな気持ちだったの? 


今なら教えてくれるかな? 





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