【短編】約束
―――… 



ブォーンというバイクの音が近付いてきた。



ゆっくりと振り返ると、庭園を管理している作業着姿のおじさんがやってきた。 


眼鏡をかけた、小太りのおじさんが優しく笑う。



「お尻、冷たくない?濡れちゃうよ!」



その言葉に小さく頷き、漸く、重たい腰を上げた。 


すっかり、下着までびしょびしょだった。 



苦笑いを浮かべ、おじさんに一礼して、横を通り過ぎた。 



もう一度、あの日と同じルートを廻り、西門へと向かった。 



ひとつひとつ、目に焼き付けるように……。





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