【短編】約束
通称「紫陽花ロード」の突き当たりを左へ曲がると――
……ほら、見えてきた。
目の前には、由緒正しき洋館が聳え立つ。
雨に濡れた洋館は、少しだけ寂しげに映る。
そう感じるのは、私が一人で来たから……?
それとも、冷たい雨のせい……?
――…あの日
二人で訪れた洋館は、重厚で、それでいて華やかな美しさを醸し出していた。
映画やドラマに出てきそうな。
洋館を取り囲むように、色とりどりのバラが満開に咲き乱れ、たっぷりと陽射しを浴び輝いていた。
溜息をつくほどに……。