【短編】約束
――あの時
左隣に座った彼は、前方の映像には全く目も繰れず、こちらが恥ずかしくなる程に右側に座る私ばかりを見つめていた。
視線を感じているものの、あまりの恥ずかしさで、気付かない振りをしてしまった。
『ねぇ、有美(ゆみ)ちゃん…』
耳たぶに唇がピッタリと寄せられその部分がとても熱い。
囁かれた甘い声に、顔から火が吹き出そうなくらい熱を帯びた。
心臓は激しく高鳴った。
ドクン…ドクン…ドクン…
暗くてよかった……。