恋をした私は溺れてゆく
鏡に……
鏡の中の私の姿
私は鏡の中の私を擬視しながら
服を一枚一枚脱いでゆく
少しずつ
露わになってゆく
私の肉体
ちっとも綺麗じゃない
気になるところばかり
気にいらないところばかり
例えば二の腕の弛み
例えばウエスト周り
膝小僧
肘
お尻
乳房
きりがない
全てだから
きりがない
鏡の中の私を見つめながら
私の乳房に触れてみる
あなたが触れるみたいに触れてみる
あなたが
「柔らかくて触り心地がいい」
と言ってくれる私の乳房
あなたが触れるみたいに触れてみる
たしかに触り心地は悪くない
そして……
自分でも驚くほど柔らかい
でもこれって……
張りが失われた柔らかさだと思う……
鏡の中の私にちっとも魅力なんて感じない
むしろ募るのは不安と切なさ
鏡の前
佇んで
ため息ひとつ……