願い事叶えます
「必ずしもその恋が実るとは限りません」
「えっ…!」
晴美は彼女の言葉に目を見開いた
「相手の気持ちまでは操作できませんから」
「そう…なんだ…」
では一体この魔女は何をしてくれるというのだろうか
晴美のそんな思いを読み取ったのか彼女は微笑んだ
「私はあなたが彼に思いを告げる機会をつくるだけです」
「機会…」
「ええ…もしお気に召さないようでしたらこのご依頼はなし、ということもできますが」
「いいえ、やるわ!」
チャンスが向こうから転がってきたのだもの
「そうですか」
彼女は微笑んだ
「では…あなたの想い人のお名前を教えてもらってもいいですか?」
晴美は彼女をまっすぐ見上げながら口を開いた
「本井ケンという人よ」
晴美の言葉に彼女は少し目を丸くした
「本井ケン…そうですか。あらあら」
彼女は可笑しそうにくすくすと笑った
「出会いは意外なところで繋がるものですね。…では、行きましょう」