願い事叶えます
ケンは背後に気配を感じため息をついた
「…どういうつもりだ」
背後を振り返りながら問うとホシはケンを微笑みながら見ていた
「以外とキザなことを言うのですねえ。
おれは誰かを幸せにするとかできねェ。
…こんなこと言われたら世の女性はイチコロでしょうね」
「う、うるせえ…」
ケンは頬を赤く染めながら言った
「じゃなくて!どういうつもりだ!」
「何がですか?」
「なんでわざわざあんな…」
「それが鈴宮晴美さんの願いなんです」
「は?」
「『誰もいない所で人目を気にせずあの人に気持ちを伝えたい…』
それが彼女の願いでした」
「それでお前がそれを叶えたってわけか…」
「ええ」
ケンはまたため息をつき、木の下のベンチに腰かけた
「ということで…あなたも願い事唱えましょう」
「は?何が『ということで』なんだ!?」
「わたしの仕事…というか役割なんです!
願い事がない!なんて一番あり得ない!
彼女をお手本としてあなたも願い事を!」
「だからおれは魔女の力を借りてまで叶えたい願い事なんてねェって!」
ケンはだんだんと自棄になってきた
ケンが叫ぶと周りを歩いてた人が数人
珍しそうな目でケンを見た
ケンはその視線を痛いほど感じ、立ち上がり、早足で歩きだした
「いいか、とにかく学校にいる間はおれに付きまとうな!」