願い事叶えます
ホシは鼻をひくつかせた
何やら嫌な臭いが漂っている
思わず鼻をおさえた
血の臭い…
ある部屋の前までくるとよりいっそうその血の臭いが強くなった
意を決してその部屋の扉を開けると、何やら不気味な色の煙が漂っていた
そして部屋には大きな鍋があり不思議な色の液体がぶくぶくと煮えたぎっている
その鍋の液体を顔をしかめながらかき混ぜているのが…
「よおホシ。兄ちゃんが恋しくなったか?」
ホシの兄である
ホシの兄はホシとは対称的だった
髪の色は目が痛くなるほどの金髪
性格も…まあ対称的である
「兄様…それは一体…」
ホシは鼻を覆いながらできる限り距離をとって尋ねた
「ああ…これか?これはだな…実験なんだ」
兄は子どもみたく笑いながら言った
「実験…ですか」
「ああ!何の実験だと思う?」
「……」
「わからねェか?しょうがない妹だ!
特別に答えを教えてやろう!!
正解はー!」
「あの、実験とかどうでもいいんで話聞いてもらえませんか」
ホシの一言に兄はずるっとこけそうになった
「冷たい奴だなあ。昔は
『おにいちゃん!おにいちゃん!』って寄ってきてくれたのになあ。
この実験だってな、どうでもいいやつじゃないんだぞー?
『蛙、ネズミ、ラベンダー、コスモス、そして樹齢1000年の木の根っ子。これらを組合せるとどのような香水ができるか』」
「結果は『臭くなる』ですね。
じゃなくて私の話を聞いてください」
「おお…ホシよ。
お前には赤い血が流れていないのか?
兄ちゃんはなこの実験に3年費やしたんだぞ。
特に樹齢1000年の木の根っ子が大変でな。ぴったり1000年じゃないと駄目なんだ…。
つまり1日ズレても駄目。
な?兄ちゃんの苦労がわかっただろ?」
「馬鹿なんじゃないんですか」
ふんと鼻で笑いながらホシは言った
「おいおいおいホシ…。
まるでおれの事が嫌いみたいな言い草だな」
兄は高く笑いながら言った
「昔はよく一緒に遊んだのになあ。
ほらあの日なんて…。
おれに話があるって?」
兄はようやくホシの言っていたことを思い出したらしく瞬いた
ホシは大きくため息をついた
「はい。実は…」
ホシは今自分が困っていることについて語り始めた