願い事叶えます
「ふうむ」
兄は腕をくみ、椅子に深く腰かけた
「お前の"星"に確かに触れたのにそいつは願い事がないというのか…」
兄はホシを見上げた
「それはあれだな…。
未来の願い事だな」
「未来の願い事?」
ホシが言うと兄は大きく頷いた
「未来の…いつかは分からないが、
その人物に死ぬほど叶えてほしい願い事ができるんだ。
そうするとお前の"星"はその未来の願い事を感じとってその人物の前に現れる。
だが、願い事は未来にできるため星に触れた時には願い事がない…。
…まあこの手の願い事は大抵めんどくさい。
止めとけそんな男。兄ちゃんは認めんぞ」
ホシは兄の言った最後の部分は完璧に無視した
「死ぬほど叶えたい願い事…」
小さな声で呟くホシを兄はじっと見た
「分かりました。どうもありがとうございます」
そう言うとホシは部屋を出ていこうとした
そのホシを兄は引き止めた
「待て…ホシ。
お前いつまで続けるつもりだ」
ホシは足を止めて兄を振り返った
「願い事を聞いては報酬にガラクタばかりもらう。
1回目の願い事で心臓をもらえばいいものを…。
しかもお前は願い事は1回しか聞き入れないと言ってるそうじゃねェか。
せめて2回目の願い事を聞いて目か心臓をもらえ 」
「私は…」
「おい魔女が人間の心臓をもらうことを躊躇してねェよな?
お前のポケットに入ってるガラクタなんか何の役にたつんだ?
心臓を50個もらう。
それがおれたち魔法使いの、ホシ、お前が選んだ仕事だ。
50個もらえばお前はもっと住みやすい所へ移れる。人間界にとどまらなくていいんだぞ?
それとも…お前まだ昔のこと…」
「違います!!!」
ホシは声を張り上げた
「…ホシ。お前今いくつ心臓をもらった?」
「…ひとつ」
兄が静かに問うのでホシは仕方なく答えた
兄はホシの答えを聞くとため息をつき頭をガリガリ掻いた
「はやくこんな仕事終わらせちまえ。
兄ちゃんにあまり心配かけるな。
この仕事始めなければな…。別に義務でもないのに…」
「義務です!!!」
ホシは大きな声で言い捨て扉を力強く閉めて出ていった