願い事叶えます




「…おい、なんだこの飯は」



文哉の父は夕飯を指差しながら母に低い声で言った



「何ですか?普通のご飯だわ」



母も尖った口調で言った



「くそ不味い!!

こんな飯食えるか!!!!」



父はそう言うと皿を床に叩きつけた



皿は大きな音をたてて割れた



「じゃあ食べなければいいでしょう!!!

そうやって何でも私に当たらないでください!!!

大した給料も持ってこないくせに」



「何だと!?じゃあお前は社会に出て働いているのか!?

そんなに不満ならお前が働け!!」



「じゃああなたは毎日、掃除洗濯の家事をやれるの!?

1日の休みもなしで!!

何も知らないくせに勝手なこといわないで!!!」




「パパ!ママ!」



言い争いをしている母と父の間に文哉が割り込んだ










「あたまひやして?」







文哉がそう言うと、母と父ははっとした







こんな幼い我が子に頭を冷やせと言われた





よくよく考えてみればなぜこんなにも熱くなって喧嘩をしていたのだろう




母と父は互いに顔を見合わせ反省の色を見せた




我が子に頭を冷やせと言われたことが2人にとって何より恥ずかしい






「…悪い…言い過ぎた…」




「いえ…わたしの方こそ…」







夫婦はもう一度やり直しを始めた









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