願い事叶えます





佐々木文哉の願い事を叶えた翌日



ホシは違和感を感じた




それは"人が星に触れた"感じなのだが…





「…これは…」




ホシは呟きながらもとにかく星に触れた人物のところへ向かった










ホシがその人物のところへ着いた途端ホシの耳に泣き叫ぶ声、そして血の臭いがした




そしてホシは目の前にいて泣き叫ぶ人物を見て目を見開いた




「…佐々木文哉くん…。どうしたのですか?

私をまた…」




「お、おねえちゃーーん!!!!

ママが!!しんじゃった!!!!

ママを生き返らせて!!!」




その願い事はホシも承知だった



文哉自身が星に触れた時に願ったのだ




母親を生き返らせて、と




ホシは文哉の近くに横たわっている母親を見た





生体反応がない






何が起こったか、想像することは容易い








また喧嘩か







いきすぎた父親の怒りが母親を殺してしまったのだ




結局この夫婦を救うことはできないのだ






救いようがない大馬鹿者





「これ、君のお父さんがやったのでしょう?」



ホシが聞くも文哉は泣き叫ぶばかりだ




「あのいいですか!?2回目の願い事はあなたの心臓か目をもらいますよ!?

それでもいいんですか!?」




「おねえちゃあん!!!

ママをいきかえらせて!!!!

おねがい!!!!!」




ホシは文哉の声に思わず後ずさった




「い、いいんですか!?あなた、願い事叶えたら死んじゃいますよ!?」




ホシが言うが文哉はもはや聞いていない




「ママぁ!!!」



ホシはぎゅっと目をつぶった

















「あなたの願い事受けとりました」










ホシは倒れている母親に近づく






「腹部に刺し傷1ヵ所。死因大量出血。

死後15分経過…。蘇生の見込み75%。

蘇生をします。蘇生の引き換えに…記憶。

彼女の夫から彼女の記憶を消します。

その記憶を蘇生の引き替えに」




ホシは淡々と述べ母の傷口へ手を優しく当てる



「"トリート"」



ホシの手からオレンジ色の温かい光り漏れ、母の傷口が塞がっていく



次にホシは母の額に手を当てた



「"リリーブリーブ"」



今度は緑色の光が母親を包み込んだ







そして…




冷たく動かなかった指先がぴくりと動いた





「ま、ママ…!?」



文哉が母親に駆け寄った




「ふ、ふみ…や…?」



母親は我が子の名を呼んだ




「ママ!!ママぁ!!!」



文哉は母親に抱きつき、母親も文哉を抱き締めた




ホシは母親の額から手を離し、額に浮かんだ汗を拭った





人を生き返らせる魔法は







禁止されている




生命の冒涜だから





だがホシは願い事をされたのなら例え禁止されている魔法といえど使う




ただ蘇生の魔法はその人物が生き返るかわりに何かを失わなければならない



今回の場合は父親の母親の記憶全て




まあ殺してしまうくらいなら忘れた方がいい




「あの…!よく分からないのですが助けていただいてありがとうございました!」



母親は涙を浮かべホシに礼を述べた



「助け…ですか…。あなたは1度死んでます。それを生き返らせました。

多分今後の人生普通の人より生きにくいでょうね。だってズルをして生きたのですから」



ホシは冷たく言ったがそれでも母親は感謝の眼差しをホシに向けている



「いえ…!わたしはどんな不幸にも耐えられます!!

文哉がいてくれれば…今後は2人で一緒に…!」



母親が言っている間にホシは文哉に近づいた



「文哉くん。満足していただけました?」



ホシは笑いもせず文哉にたずねた



「うん!!おねえちゃんありがとう!!」



文哉は嬉しそうに言い、ホシは少し目を細めた



「じゃあ約束覚えてますよね?私は散々言いました。

2回目の願い事はあなたの心臓か目をもらいますよ、と。

あなたの心臓をください」



ホシは文哉に向かって手を差し出す



文哉はその手を呆然と見ていた



「な、何なの…!?心臓…?願い事!?

やめて!文哉に触らないで!!」




母親は先ほどの感謝の眼差しもどこかへ消え、文哉をホシから守ろうとした



「約束は約束。これが魔女との契約、とでもいいましょうか。

大丈夫。痛くはしません」



ホシはそう言うと母親の間をすり抜け文哉の左胸に手を勢いよく当てた




すると文哉の背中からまるでホシの手に弾き出されたかのように心臓が飛び出した


母親は悲鳴をあげた


文哉の体に外傷などは何もなく、血の一滴たりとも流れてはいない



ホシはその心臓を拾い窓から飛び去っていった





背後から母親の泣き叫ぶ声を聞きながら




















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