願い事叶えます


誰も何も言えないなか加代子は立ち上がり彼女達の前に歩み寄った



「は?何なの?」


彼女達の一人が顔をしかめ近づく加代子を見た



「ぎゃーぎゃー喚いて馬鹿みたい」


「はあ!?あんた今何て言った!?」



加代子の口から出た言葉に彼女達は目を見開いた


だが一番驚いたのは加代子自身だった




「え、ちが…あたし何も言ってない…!」


「何訳わかんねェこと言ってんだよ!!!」


「だーかーら、ぎゃーぎゃー喚くなって言ってるのよお馬鹿さんたち」


また加代子の口から勝手に言葉が出てきた




ま、まさか



加代子はそーっと魔女の方を見た


魔女は口元を隠しながら加代子と彼女達の方を見ていた




犯人あいつだ…!!



加代子は何てことさせるのよ!と口パクで魔女に伝えようとするが魔女はそれを無視してきた



「へーえ…?羽田…いつからあんたあたし達にそんな態度とるようになったの?

地味な奴は大人しくあたし達の言うこと聞け」


先程見事な転倒をしていた彼女が加代子の髪を鷲掴みにし睨み付け言った




「ふふ…」


加代子の口から勝手に笑い声が漏れた



そしてすっと加代子の右手が意識せずに加代子の髪を掴んでいる彼女の手にのびた





え、待ってそれはまずい



今やこの加代子の意識していないのに勝手に動いているのは魔女のせいだと理解しているためか、

加代子には魔女のしようとしていることがわかった





いや、駄目だって…!!

さすがにそれは…!!!やめてよ…!!








指折ってやろうとかお願いだから考えないでえええ!!!





加代子が必死に心の中で願うと加代子の勝手に動いていた右手は一瞬止まり、

髪を掴んでいる彼女の指を折る…ことはなくただはらった





「地味とか派手とか、言うこと聞くとか聞かないとか、すっごくくだらない。

じゃああたしが地味ならあなた達は派手ってことでしょ?

それって化粧して髪の毛染めれば誰でもそうなれる。
それを威張るのは可笑しい、笑えないくらいに可笑しい。

もしあたしみたいな地味な子があなた達みたいな派手な子にいじめられるのなら、


あたしはずっと地味な子でいい。


あなた達と一緒のくくりにしないで。


あたしに…





二度と近づくな」



「ひっ」


加代子が彼女達を睨むと彼女達は小さく悲鳴をあげた


きっと今まで自分がいじめていた子にここまで言われた事もないだろうし、

ここまで恨みを露にされた目で睨まれたこともないのだろう




「わ…わかったわよ!

…もうあんたなんかどうでもいいわ!!」



彼女達はそう言い残すと教室から出ていってしまった



加代子は体の力がふっと抜け、机に手をつき倒れそうになる体を支えた


「加代子…ちゃん…」



教室にいる生徒の中の誰かが加代子をよんだが加代子にはどうでもよかった




それより…




教室の外で魔女が手招きをしている




加代子はしっかりと立ち上がり教室の外へと出ていった



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