願い事叶えます
愛しい君との出会い
時は少し遡る
「お、おいケン…?」
剛は慌てて去っていく友人の背中を見た
どうしたんだ…?
剛の友人…本井ケンは何だか選挙のポスターを見てから様子がおかしかった
「…そんなにこのおっさん嫌いかな…あいつ…」
剛はそのポスターを見て何となく呟いた
そして特に1人ではすることもないし家に帰ろうかと思い、歩きだした
「ケンのやつ変だったなー…。
はっ!まさか彼女とかできたのかな…!?
それで何かおかしくなったのか!?
魔女とかなんか言ってたし、きっとファンタジー好きな女だ!くそぅ!!!
なんであいつばっかりモテるんだ」
剛がぶつぶつと友人の文句を言っていると
剛の横をすっと女がすれ違った
少し明るめの髪色
だが決してそれは染めていない
その髪が彼女の腰のあたりで揺れながらふわっと良い香りをはなっていた
顔も剛が今まで見てきたなかで一番美人だった
いいよなあ…美人は
きっと恋人に困らないんだろーな
剛は呑気にそんなことを思った
ああ!一度でいいからああいう娘と付き合ってみてェ!!
と、剛は思いながらも自分には運がないと半ば自重気味に笑いながら
振り返ってみた
例の美女がなにやらあの選挙ポスターの前でぼんやりしている
何やってんだ…?
首を傾げたが、自分には関係者ないと思い、家の玄関へ入っていこうとした
剛は母親と父親そして妹と住んでいる
妹は同じ大学に通っている
妹ともまた剛と同じ様に色恋の雰囲気は皆無だった
剛が何気なく我が家の<鈴宮>という表札に目をやるとその下のところに何やら星の落書きがしてあった
「おいおい…まじかよ…落書き…。センスねェ」
その落書きに顔を近づけてみると何やら星と一緒に文字が書かれていた
「んー?なになに?
『願い事を3回唱えてね』って…」
へえー!面白い!
剛は単純なため疑いもせずその星に触り願い事を唱えてみた
彼女がほしい
できればさっきすれ違った子みたいな美人で!
「あなたの願い事受けとりました」
剛が振り替えるとそこには箒に乗り、トンガリ帽子をかぶった美女がいた
「今日はやけに忙しいです…。
えーっと鈴宮剛さん?彼女がほしいんですね」
「う、う、うわあああ!
めちゃくちゃ美人!!!!!
え、何!?まさかおれ君と…!?」
「やめてください」
ホシは顔をしかめ剛の間違った妄想をばっさり斬った
「私ではありません。
しかし、ちょうどいいです。
鈴宮剛さん。あなたきっと運命の人と出会えますよ」