願い事叶えます
剛が魔女に願い事をし、魔女は謎の言葉を残し剛の前から去った
「何だ…?今日はやけに不思議なことが起こるなあ…」
呟きながら剛はポケットの中を探った
そういえばさっきポケットから何か落ちた気がしたんだけど…
「ん!?」
剛は呆然と立ち尽くした
やばい
一番なくしちゃいけないものなくした
免許証ない…
剛が頭を抱えると家のインターホンが鳴った
そういえば今家には誰もいなかったな、と剛は思い出し玄関の扉を開けた
「あ…!あのっ」
とおどおどしながら頬を赤く染めている美女に剛は見に覚えがあった
「あ、あのときの」
「あ、あの!め、免許証落としてました…!」
彼女がそう言い手をつきだした
確かに彼女の手の上には剛の免許証があった
「あああ!ありがとう!!」
剛は免許証を受け取り、とりあえずほっとした
「い、いえ!それで…あのですね…」
彼女はもじもじしてなかなか何かを言い出そうとはしなかった
「あ、あたし石井千尋といいます!
突然なんですけどあたしと付き合ってくれませんか!?」
「え、あ、うん」
剛はあまりの驚きにそんな返事しかできなかった
だが石井千尋はそんな返事でも顔を輝かせ、よっしゃー!とガッツポーズをしている
「え!?」
剛は時間差で驚いた
「す、すげェ…。これって魔女のおかげ…」
「おめでとうございますお二人とも」
そんな声が聞こえ石井千尋の後ろにあの魔女が立っていた
「願い事叶いましたね」
「ありがとう!あなた!お陰さまで運命の人とこうして!」
「いやあ本当にありがとう!お陰でこんな美女と!」
千尋と剛はほぼ同時に魔女に礼を言った
「いえ。私の名はホシです。以後お見知りおきを。
ところで報酬をいただきたいのですが」
「報酬?」
と千尋は首をかしげた
つまり願い事を叶えたのだから何か物をくれ、ということらしい
「お!じゃあホシちゃん。これなんかどうだ?」
と言い剛は家の中に一旦入り、そして手にネックレスを持ってやってきた
「晴美のなんだけどもう使わないって言ってたから」
「それでいいです」
ホシはそう言いネックレスを受け取りポケットにしまった
「じゃあ、あたしはこれで」
と言い千尋は鞄から万年筆を取り出した
「ちょっと気に入ってるやつなんだけど。ホシには感謝してるからあげる」
「はい」
ホシは微笑んでその万年筆を受け取りまたポケットにしまった
「では、お二人ともお幸せに」
ホシはそう言うと箒をとりだし、空高く飛び去ってしまった
剛と千尋は呆然と、その様子を見ていたが2人で顔を見合わせ、照れたように笑いあった