願い事叶えます
「こんなものでどうですか?羽田加代子さん?」
「うん…あの…あなたって性格悪いのね」
校舎の外へと2人は出ていき加代子は苦笑しながら言った
「あら…そうですか?
もしあれで足りなかったら困るのであなたの制服にカッターなど潜めておいたのですが出番はなかったですね」
加代子はその言葉に驚き慌てて制服をさぐるとポケットからカッターやらはさみやら
何やら危険なものが出てきた
「ひゃああ…あ、あなたあたしに何させようとしてたの…!」
中途半端な悲鳴をあげ加代子はその凶器達を魔女に返した
魔女は微笑みその凶器達を受け取った
「さっき…あたしに何したの?勝手に喋ったし勝手に体が動いた…」
「"リンク"の魔法です。対象者と自分の動きをリンクさせるのです」
魔女はそう言い突然しゅんと眉を下げた
「満足していただけませんでした?」
「…そんな…ことないよ…。
すっごくすっきりしたに決まってるじゃない!!!!」
加代子が微笑むと魔女も微笑み返した
「それはよかったです。では」
魔女は微笑みながら手を加代子に差し出した
加代子も微笑んでその手を取ろうとした
加代子は握手のつもりだったが魔女は違ったようだ
加代子が魔女の手をとる前に魔女は手を引っ込めた
「報酬」
「あっごめんなさい」
加代子は苦笑して髪止めを魔女に渡した
魔女は髪止めを受け取ると満足そうな顔をしてその髪止めを服のポケットにしまった
「えっと魔女さん。報酬を払えばまたお願い事聞いてくれるの?」
「残念ながら私が叶える願い事は1人ひとつ。2回目を叶えてほしいのならば報酬が高くつきます」
「髪止めたくさんあげればいいの?」
「まさか」
魔女は少し嘲笑をまじえた声でいった
「もし、まだ何か叶えたい願い事があるのならばあなたの心臓か目を私にくださいね」
「し、心臓…!」
魔女は驚いている加代子をよそにふわふわと空へ飛んでいこうとした
「ま、待って!!まだあなたの名前聞いてない!」
魔女はちらりと振り返りため息をついた
「………ホシ」
「ホシ…!ありがと!」
加代子が魔女に向かって手を振ると魔女は微かに微笑み、そして加代子の前から消えた
加代子の前に魔女が現れることは二度となかった