願い事叶えます
だからこの仕事は簡単なようで一番重要
重要であるからこそ、この仕事を無事終わらせた者には魔法界で住みやすい住み処を与えてもらえる
「…私はもう…この仕事をはじめてから4年が過ぎました」
「4年…!?だってよ、さっき一年で終わるって…」
と、そこまで言ったケンは気づいた
ホシはふたつめの願い事で心臓をもらうことにしている
二個も魔女に願い事を叶えてもらおうなんていう奴はいないのだろう
「…お前、条件の選択間違ったんじゃないのか?」
ケンが言った言葉にホシは声を出して笑った
「いいえ?私はこれでいいんです。
そもそもケンさんが考えているような
二個も魔女に願い事を叶えてもらおうなんていう奴はいないのだろうなんて、ことないんですよ」
「え」
「いるんですよ。たくさん」
ホシは首を回し横目でケンを見た
太陽の光のおかげでいつもの紺色の瞳が少し明るかった
「じゃあ何でまだ仕事やってるんだって顔ですね」
ホシは目を細めた
「だって私、二個目の願い事では心臓をくださいねってその人に言うんですもん。
大抵の人はその時点で諦めますよ」
ホシは明るく言うが、ケンには理解できなかった
「な、何でわざわざそんな事言うんだ?
お前だって早くこの仕事終わらせたいって思うんじゃねェのか?」
「思わないです」