願い事叶えます
「んー?だからー」
ホシの兄はにこにことしながら言う
「ホシに聞きたいことがあって」
ケンは自分の部屋にいるのにとても居心地の悪いものを感じていた
だって部屋に魔法使い2人である
まったくもってこの状況が理解できない
「…で、聞きたいことって何なんですか?」
ホシは盛大に顔をしかめながら兄に尋ねた
「おお…ホシよ。
何故お前はそんな顔しか兄に見せないんだ。
もっと笑えよー?こうやってー」
ホシの兄は自ら笑う手本を見せたがホシは見ていなかった
「…ケンさん。この人追い出していいですよ」
「…お前だって追い出されてもいいと思うけどな」
ケンが言うと、突然ホシの兄は何か思い出したかのような表情をした
「ああ、そうだ例の君」
ホシの兄はびしっとケンを指差した
「まだ自己紹介してないぞ」
「ああ…え?自己紹介…?」
何故わざわざ自己紹介をしなければならない
しかも何その上から目線
「名前、趣味、好きな食べ物、好きな女の子のタイプ…言ってみ?」
「いやいや…何かほとんどいらない情報のような気がするが」
「ほらほら!」
ホシの兄に促されケンは渋々自己紹介を始めた
「えっと…名前は本井ケン。趣味は…特に…。食べ物もまあほとんど食べられる…。
好きなタイプは…変な奴じゃなかったら…まあ大丈夫」
「…」
ホシの兄はしばらくじっとケンを見つめた
そして大きくため息をついた
「お前…生きてて楽しいか?」
「大きなお世話だ」
ケンはやっと本当にホシがホシの兄を嫌っている理由がわかった
うざい
ケンは目を瞑りとりあえずホシの兄を視界から消した
「じゃあおれの自己紹介だ」
ホシの兄が言うのでケンは仕方なく目を開けた
「おれは御存知の通り、ホシの兄だ。
名はツキ。趣味は実験。好きな食べ物は麦。好きな女の子のタイプは、
優しくて、かわいくて、おれの話をずっと聞いてくれる子。
ってことでよろしく」
ツキはにこにこしながら見事に自己紹介を終えた
好きな食べ物には突っ込まないとして、
ツキの好きなタイプの女はほとんどいないと思う