願い事叶えます






(あたし…後悔…してるみたい)




百合はそう言った






「後悔って…?」



ケンが尋ねると百合はぎゅっと拳を握り、顔を上げケンを見た





「あたし…!やっぱりあなたのこと忘れられないの!」




「え…は?」



百合が言った言葉を聞き、ケンは面食らった





「わ、忘れられないって…どういうことだ?

おれたちはもう終わった、よな?

というより、お前が終わらせた」



「…そうよ!あたしはあなたをフッた。

でもあたしはあなたをフッたことを後悔してるのよ!

だから…だから!本井ケン!あたしともう一度…!」




「ケンさん!」




百合の言葉を遮り、聞きなれた声が飛んできた




百合は顔をしかめ声の主を見て、ケンも凍りついたような表情になった




「ホ、ホシ…!お前なんでこんなとこに…!?」



ケンは小声で百合に聞こえないように言った



なぜなら彼女にはホシの姿は見えない……



はず、だよな?




そのはずなのに百合はホシがいる場所を凝視している




そういえば今のホシはいつもと違う



髪の紺色がいつもより暗く、黒に近いし魔女らしいトンガリ帽子も被っていない



瞳の色も限りなく黒に近い





これではまるで





普通の人間だ




「誰?」



百合はホシの方を見て言った










やはり見えてる






「魔法です!」



ケンの心のうちの疑問に答えるかのようにホシは胸を張って言った



「おれはこんな公の場所で魔法だって大声で言えるお前の精神に魔法がかかってる気がする」




ケンは顔をしかめながらホシに言った




「ケンさんも言ってるじゃないですか」



ホシは何故だか嬉しそうに言った




「…ねえケン。この子誰?」




百合に問われ一瞬百合の存在を忘れていたケンは我にかえった



「あー…こいつは…そのー…」





何て答えればいいんだよ





「友達」



一番安全であり得そうな答えをとりあえず言っておいた




「ふーん…?」



百合は怪しそうにホシとケンを交互に見ている



「ケンさん帰りましょ」



ホシはそう言うとケンの腕を引いて立ち上がらせた




「あ、ああ」



「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!

あたしあなたにまだちゃんと言ってないことあるのよ!」



帰ろうとするケンとホシを見て慌てて百合も立ち上がった




ケンはゆっくり振り向いた




「悪ィ新野。無理だ。お前とおれは合わない」





百合は傷ついたような表情になった



そして彼女の瞳からはぽろぽろと涙がこぼれた





「じゃあ…やっぱり、あたしたちは、終わりなの?」



「ああ終わりだ。第一おれじゃお前を幸せにとかできねェから。





お前はいい奴だったよ。もっといい相手見つけろ」





百合は涙を浮かべケンを見て、そして頷いた










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