願い事叶えます
救い






扉から出てきたモノはただの人間の男だった


だが着ている服はぼろぼろでところどころ破れていた




年はホシより2、3歳歳上のように見えた





ホシはすーっと箒の高度を落とし、その青年に近づいていった




「ちょ!ホシ…!!」



リディは声を荒げるもリディ自身はその場から動けないでいた




ホシはどんどんその青年に近づいていき、彼のすぐ傍で箒から降りた



その青年は明るい金髪に青い瞳をしていた


彼は青い瞳をぼんやりとホシに向けた




「こんにちは」



じーっとホシを見つめる青年の瞳が次の瞬間に大きく見開かれた





「う、うわあああ!!」



青年は慌ててホシから逃げるように走り出した



「おっと、逃がしませんよ。"ストップ"」



ホシの指先が青白く光りると逃げていた青年の動きがそのまま止まった




ホシは青年の背に呼び掛ける




「まあ…とりあえず落ち着きましょうか。

"皆さん"?」




ホシは老魔法使い、空に浮いている学生魔法使い達に順に目を向け言った




「お、おぬし…!!」



老魔法使いは目を丸くしてホシを見つめた




「な、何者じゃ!?ただの学生魔法使いで杖を使わずに魔法ができる奴など…!!」



「杖なんていらないです。…私の事よりこの人、どうにかしたらどうですか」



ホシは呆れて肩を竦めた



老魔法使いはホシから青年へと視線を移した




青年は恐怖のためか微かに震えている、が魔法のため全く動けなかった




「そ、そんな事言われなくてもわかっておる…!!!


こやつは人間!直ちに消してしまわねばならぬ!

"旅の扉"が魔法使い以外に開かれてはならぬのだ!!!」



老魔法使いが青年を指差したとき




「まあー待てって。ちょっと話を聞こうぜ」




随分と呑気な声が聞こえてきた




その声の主に皆目を見開いた



彼は目に痛いほどの金髪を揺らしながら微笑みを浮かべ、従獣にまたがっていた





「か…神様!!」



リディが頬を赤く染め目を輝かせた



「よせって神なんてー」



ツキは照れたように頭をかきながら言った




「…兄様…」



ホシは思いっきり顔をしかめツキを見た



「おおホシ。よくやった。兄ちゃんは鼻が高いぞー。

捕まえたついでにその人間持ってきて?」




「んな!?あ、兄…!?神様が兄じゃと!?」



老魔法使いはホシとツキを交互に見ながら口を大きく開けていた




「そっおれはこの可愛いホシの兄ー」



「うっそー!!ホシ!!何でおしえてくれなかったのよお!!!」



リディがホシに向かって叫ぶのをホシは無視した



「…で、兄様?この方をどこへ連れていけばいいんですか?」



ホシは半ば放置されている青年の肩に手を置き言った






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