願い事叶えます
すっとジャックの姿が消えた
彼の肩に手を置いていたホシの手は何も支えるものがなくなり地面に手をついていた
「ホシ」
兄が呼び掛けるとホシは肩を震わせた
「いい加減にしろ。人間に思い入れしすぎだ」
兄が怒ることは滅多にない
それが今回は明らかにホシに怒っている
人間の為に一生懸命に行動したホシに
人間の願いを叶えようとしたホシに
怒っている
でも
「いい加減にするのはそっちです!!」
ホシは顔を上げ立ち上がり青白く光らせた指をツキに向けた
ツキは怒っている
でもホシだって怒っている
青白く光る光はホシに先程の出来事を思い出させた
ホシの瞳の色が徐々に変わり始めた
透き通った紺色から血のように赤い色に
「どうして最後にあんなこと言ったのですか!?
どうして!?彼が消えると分かっていたのにどうして!! 」
(お前の妹ならもう、死んでしまった)
最後にツキはジャックにそう告げていた
「本当のことを教えてやらないと。
あいつずっと妹を助けるために薬を探し続けるだろ。
それは死んでも探し続ける。本当の事を言わない限り、な」
「でも…だからって間違ってます!!
もし、もし死んでからも薬を探し続けるのなら、嘘でも妹さんは助かった、と言うべきです!!」
ホシはぎゅっと目を瞑りツキに向かって叫んだ
もし、彼が消えてしまうと分かっていたのなら私なら彼の気持ちを救いたかった
せめて彼の気持ちだけでも
「それじゃあおれ達は人間だろ」
ツキの言葉がホシの胸を抉るように入ってきた