願い事叶えます




家の外で膝を抱えうずくまってるホシを見てツキは大きくため息をつき頭を掻き乱した



まるで小さな子供がいじけているような姿だ




「ホシ」



ツキが呼び掛けるとホシはだるそうに顔を上げた


「…何ですか。何か用ですか」



刺のある声にツキは思わず苦笑した



怒ってるなーホシ



いや、さっき自分も怒ってたけど、とツキは呑気に考えながらホシの前に行き、ホシと視線を合わせた



「ホシ。兄ちゃんもな、色々考えた」



「考えたって…この短時間で何を…」



「ホシの言うことも一理ある、と」



ホシは目を見開きツキを見た



「だからな今日をもって魔法界の制度を一部変える」



ホシはツキの言っていることが信じられないのか口をぽかんと開けただ呆然とツキを見ている




「『魔法学校を卒業した者は独立する前にひとつの仕事をするべし。

ひとつ、多種多様な薬を開発、作成する。

ひとつ、我々に危害を及ぼすモンスター達の退治。

ひとつ、魔法学校の生徒に上級以上の魔法を教える。

…ひとつ、人間の願い事を叶え50の心ノ臓を集め魔法界に寄付する。


なお以上の仕事はただの例にすぎず、さらに多種多様な仕事を用意する。

皆はその中からひとつ仕事を選べ』」




「それ…は…?」



「お前が言った、人間だけではどうにもならない奴らの願い事を叶えることもできるし、魔法界の利益にもなる。


これでいいだろ。もしお前が人間を救いたいのならこの仕事を選べ…とっ!?」



ツキが長々とした説明を終える前にホシがツキに抱きついた



「ありがとうございます…!!兄様ぁ…!!」


「な…な…!!ホシ…!?

そうか…そんなに兄ちゃんのこと見直したか。いやァ素直な妹だな…ぐは!!」



ツキがでれでれしているのが気に入らなかったのかホシがツキの顔面に肘鉄を食らわした



「おま…感謝した兄に肘鉄…」


ツキは顔を押さえながら痛そうに呻いた




「ええ…感謝してます…」






ホシは痛そうなツキをよそに目を細め空を見上げた
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