あたしが愛した総長
右手に少し懐かしい温かさを感じて視線を移すと
ベッドに顔を伏せて、両手であたしの右手をぎゅっと握っている龍毅がいた
優「……龍毅」
龍毅の頭に手を置いて撫でようとしたとき
バッと頭をあげた
龍「……優、梨」
驚いているのだろう
目を見開いてこっちを見つめている
こんなに驚いている顔、はじめてみた
龍「優梨……!」
その愛しい声であたしの名を呼び、あたしを抱き締める龍毅
優「……龍毅」
その心地よい匂いと体温をもっと感じたくて
龍毅の背中に回している腕の力を強めると
その行動に答えるように、あたしを抱き締める龍毅の腕の力も強くなった
龍「良かった、意識が戻って」
抱き合ったまま呟かれた言葉
優「意識が戻ってって、どういうこと?」
龍「医者からはいつ意識が戻るか分からないって言われたし、お前5日も眠ったままだし、すげぇ焦った」
優「5日も?!」
驚いて、抱き締めてくれてる龍毅から少し身を離し、見上げる
そんなに寝てたの、あたし!
よく寝れたなーと感心していると
龍「感心してんな」
ピシッと軽くデコピンされた
優「痛いよ、一応まだ怪我人だよ?」
龍「俺がどれだけ心配したと思ってんだ、バカ」
優「バカ?!」
ひどくない?!
ようやく目覚めた彼女に向かってバカ?
龍「俺を庇って撃たれたんだぞ、バカだろ」
優「なんでバカになんのよ!」
龍「お前が撃たれて、死んでたら、俺は耐えられねぇよ……。」
見たことのない悲しく苦しそうな顔をして言った龍毅
でも……
優「あたしだって、龍毅が撃たれて死んでたら耐えられないよ。あたしにとって大切な人だから、どんなことをしても守りたい人なの。だから、とっさに体が動いたの」
龍「悪い……」
優「龍毅が悪いんじゃないでしょ」
龍「俺がもっと早く反応してれば、優梨は撃たれなかったし、……傷も残らなかった」
本当に申し訳なさそうな顔でこっちを見つめる
優「いいよ、これくらい」
龍「でも嫌だろ、これ傷残るぞ……?」
あたしのお腹に優しく手を当てて擦ってくれる
優「龍毅を守れた証だからいいの。それに……傷が残っても、あたしのお腹見る人なんて龍毅以外にいるの?」
少し意地悪く聞いてみた
その挑発に乗ったのか
龍「俺以外に見せるわけねぇだろ」
ニヤッと意地悪く笑って
甘いキスをあたしに落とした